ハッカーとは?
【ハッカー】とは情報処理技術に長(た)けた人の総称です。一般的に【クラッカー】【アタッカー】等の用語と混同されますが、これは間違いで、【ハッカー】の中に【クラッカー】【アタッカー】が包括されるイメージになります。もともと「ハック」とは「ちょっとしたことを上手に、あるいは簡単に処理する」ことを指す言葉。日常生活のちょっとした裏技という意味の「ライフハック」を思い起こすと分かりやすいかもしれませんが、例えば「電話の応対を全部自動化しました」ということも「ハッキング」なのです。このように「ハッカー」という言葉には本来悪い意味はありません。しかし社会的には「ハッカー=悪」というイメージが持たれています。それはなぜなのでしょうか。
「ハッカー=悪」というイメージはどこから?
「ハッカー=悪」のルーツの一端に、ハッカーの元祖と呼ばれるジョン・T・ドレーパーがいます。時は1970年代、彼は公衆電話の内部システムに介入する方法を発見、これを悪用し自分で電話代を支払うことなく電話回線を使用していました。この人物が「ハッカーの秘史」という映画でハッカーの元祖として扱われたために【ハッカー=ドレーパー】→【ハッカー=違法行為】、というイメージが付いてしまったのです。
ブラックハットハッカーとは?
もちろん現実的にその高い情報処理能力を【悪意ある形】で利用するハッカーはいます。そういった人たちの事をブラックハットハッカーと呼びます。彼らは標的のネットワーク環境から弱点を見つけ、そこから相手の情報を盗むなどの攻撃を仕掛けます。こういった人たちに対抗する術を提供するのが、ホワイトハットハッカーと呼ばれる人たちです。ブラックハットに利用されそうな弱点を見つけ出し、それを元にきちんとした対策をとることで攻撃を防ぎます。ホワイトハットには、セキュリティサービスを提供する企業はもちろんの事、そういった活動を個人でしている人も含まれます。最近では自社システムの脆弱(ぜいじゃく)性を発見した人に報酬を支払う企業も増えてきています(例えばApple社は、重大な問題を発見した人に対して、20万ドルの報酬を支払うと発表しています)。このようにホワイトハットに対してきちんとした報酬が支払われる制度は、将来のブラックハットを減らし、また社会に有益なホワイトハットを増やすという意味で非常に重要です。もう一歩進んだところだと、政府や警察がハッカーを雇い、国防に関するセキュリティシステムの構築や犯罪捜査に協力してもらう制度もあります。日本政府においてもすでに登用が始まっているので今後の彼らの活躍にも注目です。
ハッカー以外の総称
近年では「ハッカー」という言葉が普及したことによって、そこまで情報処理に長(た)けていない人でもハッカーを自称するようになりました。これを嫌って、本当に優れている人たちは【ウィザード】や【グル】などの異なる呼ばれ方を好みます。例えばLinuxの開発者リーナス・トーバルズはグルと呼ばれています。