セキュリティ専門家による脅威情報・ニュースをお届けしているトレンドマイクロ セキュリティブログの記事から、2020年1月に公開された記事の中から4本、ご紹介します。

2019年「法人」と「個人」のサイバー脅威動向:サイバー犯罪が覆す「安全」の常識

2019年にも様々なサイバー脅威が登場し、利用者の安全を脅かしました。トレンドマイクロでは、過去1年間のサイバー脅威動向調査として、2019年1月~11月に発生したサイバー脅威を分析しました。結果、利用者に被害を与えた脅威の傾向として、一般の利用者が持つ「セキュリティの常識」、言い換えれば「これは安全」という利用者側の思い込みを覆すサイバー犯罪の被害が顕著化した1年間であったと結論付けました。攻撃手法自体は既に以前から発生しているものであっても、一般の利用者にはまだ認識がない、その攻撃手法が拡大した、などの理由により、利用者にとっての「安全」の思い込みを覆す攻撃の被害が顕著になったものと言えます。本記事では「この常識を覆すサイバー犯罪」の観点から、2019年の日本におけるサイバー脅威動向の速報をお伝えします。
…続きを読む

米国の学校運営組織がビジネスメール詐欺により230万米ドルの被害

ビジネスメール詐欺(Business Email Compromise、BEC)は法人利用者に大きな被害を与え続けている攻撃の1つです。2019年9月、米国のインターネット犯罪苦情センター(IC3)の公表によれば、全世界における累計被害総額は、ほんの3年で262億米ドル以上(約2兆8,500億円)を越えました。このような巨額の被害に対し、具体的な被害が明るみになる事例はそれほど多くありません。そのような被害事例の1つが、米国のテキサス州で報じられました。

同州マナー市の独立学区「Manor Independent School District(MISD)」はビジネスメール詐欺(Business Email Compromise、BEC)の被害を受け、現在、当局による捜査が進められています。独立学区とは、米国で地域の教育機関(幼稚園から高等学校まで)の運営を担当する事業体のうち、特に自治体から独立して運営されているものです。報道によると、同学区と取引先のやりとりを偽装したメールにより、推定230万米ドル(約2億5,300万円)の損失が発生しました。同学区が投稿したTwitterによると、現在、マナー市の警察署および連邦捜査局(FBI)が協力して捜査を進めており、地域に向けて事件に関連する情報提供を求めています。
…続きを読む

Microsoft社がInternet Explorerのゼロデイ脆弱性「CVE-2020-0674」に関する注意喚起をリリース

Microsoft社は、2020年1月17日、Webブラウザ「Internet Explorer(IE)」に関連するリモートコード実行(RCE)の脆弱性「CVE-2020-0674」に関して注意喚起のアドバイザリ(ADV200001)を公表しました。当記事執筆の時点(2020年1月20日)では、更新プログラムはまだリリースされていませんが、同社は、この脆弱性を悪用する標的型サイバー攻撃の存在を認識しています。同社サポートのWindowsデスクトップ製品およびサーバのオペレーティングシステム(OS)すべてのバージョンが、この脆弱性の影響を受ける可能性があります。
…続きを読む

引き続き国内で拡大する「EMOTET」の脅威

2019年11月の本ブログ記事でお伝えしたマルウェア「EMOTET(エモテット)」の国内での感染拡大ですが、その後もさらに激化が続いています。トレンドマイクロのクラウド型次世代セキュリティ技術基盤「Smart Protection Network(SPN)」の統計によれば、EMOTETの検出台数は2019年11月に入りいったん落ち着いたかのように見えましたが、12月にはまた8,000件を越える急増となりました。

トレンドマイクロの監視では、感染したEMOTETに対して指令を送る遠隔操作用サーバ(C&Cサーバ)は、12月20日前後からいったん休止し、2020年に入って1月13日から活動再開したことがわかっています。しかしEMOTET検出台数は1月中旬までの速報値で既に1,500件を越えており、活動再開後わずかの期間にも関わらず高い数値となっています。このことからは、国内利用者を狙うEMOTETの攻撃は高いレベルで継続していると言え、注意が必要です。
…続きを読む